有川浩 / メディアワークス

200X年、二度の航空機事故が人類を眠れる秘密と接触させた。
「変な生き物ゆうたわね?そやね?」─―秘密を拾った子供たち。
「お前を事故空域に連れて行く。話は現場を見てからだ」─―秘密を探す大人たち。
秘密に関わるすべての人が集ったその場所で、最後に救われるのは誰か。
電撃の電撃によるハードカバー、ということで、ちょっと話題になった作品。図書館であまりにも無造作に置いてあったので、つい手に取ってしまいました。
なるほど、電撃らしいといえば電撃らしいし、なにも知らずに読めばそれはそれ、という感じの作品ですね。
謎の航空機事故、謎の知的生命体、空自、子供たち。
怪獣ものや航空機もの、ちょっとした社会派ものを付加しつつも、基本はボーイ・ミーツ・ガール。
正確には少年と少女はすでに出会っているのですが、そういう物理的なものじゃなくて、真に少年と少女が並び立つまでを描いた作品でした。
多少キャラクタが弱いかな、と思うところはありますが、これはいいなぁ。
子供たちは無力で、大人たちも実は無力で、じゃあなにが強いのよ、というと、なにも飾らず素直に紡がれる言葉がなにより強いのです。
どんなものよりなにより、たった一言、周囲の雑音を聞き流して放たれる言葉こそ、一番心に訴えかけてくるんですよ。