小野不由美 / メディアファクトリー
小野不由美の久しぶりの新刊! と意気込んで読んでみたものの。
短編どころか、ショートショートにも満たないようなお話が99編。
山なし落ちなし意味なし、まさにやおいじゃねーか、いやいや、でも小野さんのことだから読み終える頃にはなんかこう全編通しての仕掛けでもあるんだろう、と思いながら読み進めましたが、そのまんま終わってしまいました。
怪談とか百物語とか、稲川順二とか好きな人なら楽しめるのかな、という感じでした。
しかし、この本に収められた99編すべてが伝聞なんですよ。
しかも固有名詞はアルファベット表記。
それで、修辞や演出が一切ないのにそこそこ読ませるってすごいですね。
怖いか怖くないかといえば怖くないし、おもしろいかおもしろくないかといえばおもしろくないんですけど、小野さんの手腕に舌を巻かずにはいられない一冊です。
どうも同時に発売された『残穢』とリンクしているようなので、そちらに大いに期待したいと思います。