角川書店

「あの八月の、」 角田光代
「クジラの彼」 有川浩
「涙の匂い」 日向蓬
「ニート・ニート・ニート」三羽省吾
「ホテルジューシー」 坂木司
「辻斬りのように」 桜庭一樹
「夜は短し歩けよ乙女」 森見登美彦
7人の作家による青春文学アンソロジー。
有川浩、で探してみたら図書館で見つけたのです。
これはいいなぁ。
特に角田光代の「あの八月の、」が一番、次が有川浩の「クジラの彼」、三番目に桜庭一樹の「辻斬りのように」。
他は横並びかなー。
「あの八月の、」の中に出てくる台詞。
「小さな部屋に同数の男女をぶちこんだら、それだけの理由で人って大恋愛できるよね」
「好き、とかじゃないのかも。人が人に拘泥するのは、好きというのと違うかもしれないよね」
多分青春真っ盛りの頃(いつだ……)に読んでたら、なんとなくもやもやとした反発を抱いたんでしょうけど、いまだと、水が高いところから低いところに流れるようにすっと入ってくる。
しみるなぁ。
せやねんなぁ。決してそういうことじゃないねんなぁ。
それだけのことやねんて。
「辻斬りのように」を読んで、主人公が25歳だということに驚いた。桜庭一樹は少女しか書かない人だと思ってたから。
でも、読んでみて納得。これは少女の物語だ。
ああ、少女というのはこんなにも幅広く、そしてバリエーション豊かに展開できる装置なのだなぁ。
辻斬りのように男と寝る、心の形を変える、だなんて、なんてロマンチシズム。