石川宏千花 / 講談社
オレと公平は、小学校時代から無敵の存在だった。中学に進学してからもその「絶対的な力」を誇示したまま、二人でおもしろおかしくやっていけるはずだったんだ。それなのに――。
あの空の向こうに、オレたちは何を見たのだろう。
「“肉食系”中学生男子のリアルな青春!」という謳い文句に心惹かれました。
いまどき珍しいな、というのが第一印象で、これは良質の青春モノの香りがする、というのがその次に訪れた予感でした。
中学生なんて思い上がってナンボの生き物だし、そんな自称無敵の二人にどうやら挫折が訪れるようだし。
どう転んでも青々しい物語になることは火を見るより明らかだったからです。
冒頭からなかなかいい感じだったんですが、読み進めていくと物足りない。
エピソードが小さくまとまりすぎていて、しかも単発。児童書なので文字も大きくページ数も少ないのに、小奇麗にまとまった単発エピソードをぽんぽん詰め込まれると、短編集というかショートショート集を読んでいる気分になります。
テーマとキャラ造詣、そしてキーワードにUFOを持ってきたあたりは非常に上手く秀逸だっただけに、ちょっと残念です。
でも、なんかひさしぶりに児童書らしい児童書を読んだような気がしました。
他の作品も読んでみたくなりました。