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原作:ヴィクトル・ユゴー / 東宝
LesMiserables.jpg
一片のパンを盗み19年牢獄に入れられたジャン・バルジャン。その彼を追い続ける法の番人ジャベール。愛する義理の娘コゼット。コゼットの愛する男、マリウス。
19世紀フランスを舞台に、愛憎渦巻く人間模様が繰り広げられる……。


ミュージカル「レ・ミゼラブル」。見ました。
「星の王子さま」を見たとき、ようようミュージカルのおもしろさに気づきはじめた気がしました。幻想的な作品の方がより際だつのだろうなぁ、と、そのときは思いましたが、「レミゼ」はめちゃめちゃ現実的な作品だったのにおもしろかったです。
ああ、にゃるほど。感情の緩急と世界の深みは作品の種類を選ばないのですね。どうせ見るのは人間なのですもの。作品を見て受け止めて感じるのは人間なのですもの。

ミュージカルを見る前に原作を読んでおこうと思ったんですが、全四冊中、第一巻を読み終える前に挫折しました……。
それだけしか読んでいないのであまり偉そうなことは言えませんが、原作では宗教的転回というのがかなり大きなウェイトを占めていると思われます。
もちろん、19世紀フランスの作品ですから、宗教といえばキリスト教です。
悪人が慈悲に触れ、改心する。が、過去に犯した罪からは逃れられず、断罪と贖罪に身をやつす。
描写のくどさとキリスト教的押しつけがましさに疲れ果てたのです。

しかし、ミュージカルはそんなことは気にならず、すっきりと見ることができました。
そう、ミュージカルは人間劇なのでした。(群像劇というには主役(ジャン・バルジャンとジャベール)が勝ちすぎている感じが否めません)

芝居だと、よっぽどのお膳立てをしておかないと、役者さんの一人舞台・長台詞・心情吐露なんて見ていられません。語るんじゃなくて、芝居で見せろよ、と思ってしまうわけです。
でも、同じことをミュージカルでやると、それはソロの歌ということになります。すると、芝居とは打ってかわって、声音と踊りがあふれんばかりの情感を伝えてきます。ああ、ミュージカルという技法のおもしろさは、こういうところで如実に出てくるのだなぁ、と感じました。
もちろん物語の盛り上がりやおもしろさも関係してくるのですが、ジャン・バルジャンが司教様の慈悲に触れ改心する場面(原作では泣きながら勘弁してくださいと放り投げそうになったのに!)と、終盤のジャベールが入水自殺するシーンが圧巻でした。
特にこの二つのシーンは、同じメロディで歌詞の違う歌をそれぞれに歌っているので、がっちり心に訴えかけてくる効果が抜群で。
ぞくぞくとキました。

序盤でファンティーヌが工場を追い出されたあとに登場する娼婦たち。彼女たちの歌うラブリィ・レイディがとても好き。
力強くて、暗さが微塵もなくて、ただひたすら前を向いているような感じがします。
メロディが好みだというのもあるんですけどね。
女性のすばらしさ・奥深さと、男の矮小さがくっきりと出ていました。金で女を買うなんて最低だね。それを笑って手玉にとり、日々の糧を得る彼女たちの潔さ。ああ。

第二幕は、もうせつなくてせつなくて。
ようやくマリウスに振り向いてもらえたときには死んでいたエポニーヌ、次々死んでいく仲間たち(ガブローシュ!)、ジャベールの自殺、ジャン・バルジャンの告白、コゼットとマリウスの結婚、天に召されるジャン・バルジャン。
ジャン・バルジャンとジャベールの微妙な関係が見ていてはらはらしました。お互いがお互いを必要としているようなのに、本人たちは絶対認めないんだろうなぁ、とか。上にも書きましたが、ジャベールの自殺シーンは息を呑むすばらしさでした。

おもしろかったなぁ。
ミュージカルには間に合わなかったけど、原作をきちんと最後まで読むことが次の目標です。
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