作:小田和生 / 劇団はぐるま座

黒船が押し寄せるなか、列強に屈服しておのれの権力維持に汲々とする徳川幕府。世直しを願う一揆が各地に起こっていた。
文久三年六月。二十五歳の高杉晋作は下関の回船問屋小倉屋・白石正一郎を訪ねた。「軍資金は小倉屋さんの蔵ごと」と頼み込む高杉に、正一郎は踏み切った。奇兵隊の誕生である。
そして、高杉晋作は奇兵隊と共に、激動の幕末を駆け抜けていった──。
地元に生涯学習施設ができたのが去年の夏。
それ以来、アンサンブル金沢や劇団四季ファミリーミュージカルなどのイベントをちょこちょこやっていたのですが、今回芝居をするというので見に行ってきました。
この劇団はぐるま座というのはなかなかの老舗劇団らしく、舞台もしっかり作り込まれていたし、役者さんも上手い。構成も実にしっかりとしていました。
予備知識が無くても、見ているだけで幕末の世情とその動き、それに対する長州の動き、そしてその双方を見据えて動く高杉晋作の姿が良く分かります。
ただ、分かりやすいのはいいのですが、そうやって全体をつかみやすく作ってあるため、一体どこに焦点を当てているのか、が多少分かりにくい。
タイトルにある通り「高杉晋作」がメインなのでしょうが、うーん、まぁ、ねぇ。そういう風に考えて見ればそう見えないこともないんですが、どこかぼやけてしまいます。
ここは、少しくらい分かりにくくてもいいから、タイトルに大きく「高杉晋作と」と書いてあるんだし、高杉晋作個人に焦点を絞って、青春劇にしてしまえば良かったのではないかなぁ、と思います。
せっかくおもしろい題材で、力のある劇団だったのに、ちょびっともったいない感じでした。