というわけで、劇団(coffee)ジョキャニーニャ脳外侵出第13弾、『[再演]アガサ・クリスティによろしく』です。
素直におもしろかったー。
舞台は探偵事務所。登場人物は探偵と助手と3人の依頼人、のはずが、いつの間にか4人の探偵と1人の依頼人となり、ハチャメチャな推理合戦を繰り広げることとなります。
そこでは守護霊同士の戦いが行われたり、その影響で大魔王が復活したり、ストーカーが女子高生を拉致監禁したり、FBI工作員とロシア諜報部の暗闘が繰り広げられたり、3万年前から連綿と続くとあるエイリアンとムー大陸との物語が展開されたりします。
なに言ってるのかわかりませんかね。僕も書いていてよくわかりません。
要は『キサラギ』や『大洗にも星は降るなり』のような会話劇なんです。ただし、話にはどんでん返しも驚きの真相もありません。徹頭徹尾、コメディに特化した会話劇。ともすればただのショートコント集となってしまう危険性をはらんでいますが、そうならないのが、ジョキャのジョキャたるゆえん。
小ネタの挟みどころがうまく、本にしっかりとメリハリがついています。だからダレることがない。この辺の新津さんのセンスは本当にすばらしいと思います。
そして、役者同士の掛け合いが絶妙。間の取り方やキャラの立て方というのもあるのでしょうが、とにかくジョキャの役者さんは、掛け合いがうまい。
さきほど本にメリハリがあると書きましたが、それとともに、役者さんもすごくメリハリのある演技をします。ふざけるときはふざける、まじめになるときはまじめになる、はずすときははずす。そして舞台上でそれぞれの役者さんがそのタイミングをきちんとずらす。全力でふざけている人にまじめな人がツッコミを入れ、シリアスな話をしている後ろで思いっきり気の抜けた演技で空気を壊す。
そうした役者通しの掛け合いが、非常にうまく噛み合い、調和し、テンポよく進んでいきます。
ここ最近のジョキャ作品では、さらにそこにひとひねりふたひねりしたストーリーが絡んでくるので、実に卓越したおもしろさを見せてくれるのですが、今回は旗揚げ公演の再演のためか、ストーリーに癖がなく、非常に見通しのよい一本道でした。
だからこそ、ジョキャの真髄である会話劇の妙を楽しめたとも言えるのですが、物足りなさも感じてしまいました。
探偵事務所に持ち込まれる三つの依頼が絡まらず、単品のまま終わってしまうこと。
そのため、登場人物の立ち位置があやふやで、設定が活かされていないこと。
大きなどんでん返しは必要ないけれど、全然関係のないように見えた三つの依頼がなんらかの形で絡み、つながっていてほしかった。
そこが、残念ポイント1。
残念ポイント2として、稽古不足が垣間見えてしまったこと。
いくら初日とはいえ、ちょっとみんな台詞噛みすぎ。見得を切るところで噛んだ場面もありました。
特に大きな失敗があったというわけではないんですが、ちょこちょこと数があるだけに気になってしまいました。
いやしかし。
やはりジョキャはおもしろい。
金沢で一番の劇団だと思います。
けれど、中里さん曰く「劇団員が減る→集客が落ちる→(以下略)」という負のスパイラルに足を突っ込みかけているそうです。これはいけない!
というわけでここまで読んだ奇特な人は、是非金沢市民芸術村まで足を伸ばしてみてください。
4月28日は15時~と20時~、29日は11時~と16時~の4公演が残っています。
GW前半戦のお供に、ぜひジョキャニーニャの舞台をどうぞ。
劇団ジョキャニーニャ http://jokya.jp/