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ロエルデパートの若きCEO、キム・ジュウォンは、いとこで“韓流スター”のオスカーと「デパートのイメージモデル」の再契約を交わそうとするが、オスカーは応じない。
だがその後、オスカーは再契約を交換条件に、女優のパク・チェリンとのスキャンダルをもみ消してほしいと持ちかけてくる。その話にのったキム・ジュウォンは、チェリンと同じ服装をしていたスタントウーマンのライムに間違って声をかけてしまう。(第1話あらすじ)


韓国映画は結構好きでしたが韓国ドラマは見たことがなかったところに、ふとしたきっかけで第1話を録画して見てしまいました。
それが運のツキ。
どっぷりとハマって見続けてしまいました。


財閥の御曹司と貧乏なスタントウーマンの恋……と、いかにもわかりやすすぎる設定。なにをいまさら、馬鹿馬鹿しい~と思うじゃないですか。コテコテやな! みたいな。何年前の少女マンガだよ、みたいな。
ラブコメの基本は「最悪の出会いから最高の恋へ」、つまり出発点がマイナスなので、気持ちがプラスへと動いたときの振れ幅がより大きく、揺さぶりがいがあるというものです。
そういう意味で、貧富の差や階級の差、職業意識の差など、差別すれすれのところを突きまくっていた二人の出会いと会話はなかなかスリリングでありました。攻めるなぁ、というのが第一印象の次に来た感想です。

その意外さに加え、キャラクターとキャストの妙ですね。
主役のキム・ジュウォンはとことん鼻持ちならない「お坊ちゃま」ですが、彼は彼なりに自分の身が置かれた世界のルールに誠実に沿っているだけだということがわかり、金持ちの嫌な奴だけど、憎めない坊や。
もう一人の主役、キル・ライムは凛として覇気のある美人だけど、アイドルのファンでキャラクター靴下を履いちゃうというような少女じみた一面をも併せ持つ。
ふたりとも、一見すると矛盾するような、それでいてい、でもみんなこの程度のギャップは持ってるよね、という精神性を同居させていることを嫌みなくスムーズに見せてくる脚本が上手い。
そして、そうしたキャラクターを完璧に演じていたヒョンビンとハ・ジウォン。
まともに見るのが初めてだから、というのもあるんでしょうが、役にぴったりはまっていて、すばらしい演技でした。

そしてついつい引き込まれるように話数を重ねていった先での、入れ替わり。

なんだそりゃ。『転校生』か! と思わずツッコミたくなるところですが、この入れ替わりシーンは必見です。
上手いんですよ、演技が。
男女入れ替わりだということがスムーズに見てわかる。というか、キム・ジュウォンとキル・ライムの入れ替わりだということがよくわかるんです。
まぁ、セリフはいいんですよ。脚本家が書くんですから。それをそれっぽい口調で読むわけですし(いや、まぁ、それはそれで難しいとは思いますけど)。
すばらしかったのは、それ以外の部分。
男らしい仕草・表情、女らしい仕草・表情、を演じているというわけではなく、キム・ジュウォンらしい仕草・表情とキル・ライムらしい仕草・表情を演じているんですよ。
ああ、この人たちいい役者だわ、と素直に思いました。
そしてそんな演技を引き出せたこのドラマはやっぱりいいな、とも。


前半はコメディタッチだったのに後半からシリアスに転じ、前半で笑いをとっていた軽妙さが正反対に息苦しくも切ないものに見えてくる。といえば、『今度は愛妻家』が真っ先に浮かびますが、この作品もそれに似たような部分がありました。
『今度は~』がわざとミスリードをしていき、それをひっくり返すことで作品の質を転換させているのに対し、今作はそこまで意識的な転換ではなく、ある意味ストーリー展開的に順当な流れのままコメディ要素を排除していったという違いがあり、作劇上の巧緻さでは大きな差がありますが、見ている側に与える影響にはそれほどの違いはなく。
あのときのあのシーン、あのセリフ……ああ、いまになって考えるとグッとくるなぁ、そういう意味だったんだなぁ、と思う場面が多かったです。
それがまたいい効果を上げていて。ちくしょう、ノせられてるなぁ、でもいいなぁとなんだか悔しい思いもしたものです。

そして、そうした演出が一番効いていたのは、やはり記憶喪失の部分だったと思います。
自分の気持ちを自分でも信じられず、持て余しながらもライムに対して情熱的に振る舞っていたジュウォン。そのジュウォンを本気で邪険にし、時にはプライドをズタズタにされ、それでも最終的にいつしか惹かれていたライム。
けれど、ようやくささやかながらも真剣に愛を育もうとしたがために訪れた記憶喪失。
そこで、ストーリーを再確認するかのように(ように、というか、まさにそういう意図ですけど)行われるエピソードの再現。しかし、ここで重要なのは、男女の役割がまるっきり逆転しているということです。
二人の時間と思いをすべて胸にとどめたまま、今度は戸惑うジュウォンに対し情熱的に接していくライム。
そう、「あの」ライムが聖母のごとき愛情と懐の深さをもって「あの」くそ生意気なジュウォンに接するのです。
見ているこちら側としては、もう、二人の間に育まれていたものの大きさに圧倒されるばかりですし、あの、ただの軽妙なラブコメだと思っていた頃の自分の気持ちさえもをほろ苦い感傷と共に呼び覚まされるという……この、卓絶した演出!
ああ、もう、素直に感服します。


全20話と聞いたときには、「そんなに! 長いよ」と思ったものでしたが、見ている間は次が待ち遠しく、20話が全然長く感じませんでした。
非常におもしろかったです。
韓国ドラマ侮りがたし。です。
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