先行発売のフォトブック限定版。
フォトブック仕様にはあまり興味がありませんが、一ヶ月も早く手に入るのは魅力的でした。
さて。
聴いてみると一枚のアルバムですが、1,2、3,4,9、5,6、7,8,、10、でカテゴリが違う、ような感じがします。
もともとこのアルバムに収録されている曲は、2012年に3回行われた「Carot & stick」(毎回3曲新曲を披露するという企画ライブ)で披露された曲たちをまとめた作品です。
行きたいけど行けなかったライブシリーズなので、どの曲がセットで披露されたのかはわかりませんが、たぶんそのライブシリーズ毎に少しずつ雰囲気が変わっているのかな、と思ったり。
まぁ、なんにせよ、いろんな曲が味わえてラッキーてな感じです。
今回のアルバムでは、「誰か」と「Recognize」が抜群に好きでした。
「誰か」は、小谷さんにしては珍しく、ぐちゃぐちゃの感情も心からの叫びもない、実にオーソドックスな失恋の歌ですが、そのあっさり感がいやに沁みる。
が、あっさりした中にも、たとえば
酔い潰れたい
酔うほど飲めない
のように、妙に生々しい感情がふとかいま見え、ああやっぱり小谷さんだな、と実感してしまいます。
そう、そしてこの歌はタイトルの通り、「誰か」優しい人、善い人、誰でもいいからそばにいて、という歌で、ぱっくり割れた傷口が乾く間もなくまだぐじゅぐじゅしている様子を連想させます。
昔は、この傷口をこれでもかと見せつけ、あまつさえ目の前でその傷をえぐって血を滴らせてくるのが小谷美紗子だったのに、ずいぶん丸くなったものだなぁと思いました。
しかし、直接過ぎる表現よりも、むしろこういう婉曲的な表現の方が逆にぐっと胸に迫りますね。
ああ、苦しい。
「Recognize」はいかにもトリオらしい、トリオでしかできない一曲でした。
楽曲のかっこよさに加え、歌詞もしびれるくらいにかっこいい。
Maybe you'll never recognize me.
But how about my voice when I'm singing?
I wrote I wrote I wrote a song for you.
Don't you remember?
歌い出しの歌詞ですが、いや、もう、この詩を叩きつけるように歌うものだから。
しびれる。
勝手に和訳してみるならこんな感じ?
あんたは私を思い出さないでしょうね。
でも歌ってるときの私の声はどうだった?
あんたのために曲を書いたのよ。
どうせ覚えてないんでしょ?
みたいな。なにこのかっこよさ。
未練たらたらなんだけど、どこか潔さも感じられて。
いやーいいわぁ。
しかし、てっきり「
3月のこと」は収録されるんだろうと思ってましたがね。
ふむ。