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監督:スサンネ・ビア

愛妻の死を引きずり、仕事一筋で子どもとも連絡を取っていないデンマーク在住のイギリス人フィリップ。
乳がんの治療に苦しんだばかりというのに、夫が自分より年下の女と浮気しているところに出くわしてしまった美容師イーダ。
それぞれの息子と娘が結婚式を挙げる南イタリアのソレントで出会った二人は、お互いの心の傷を癒やすように。一方、彼らの子どもたちは挙式を目前に控えながらも、心に迷いが生じていて……。


びっくりした。
まさかこの監督がラブコメを撮るなんて!
と言っても、この監督の作品は『アフターウェディング』『ある愛の風景』の二本しか見たことなかったんですが。
どちらも深い家族愛と苦みの残る人間関係が秀逸で、本当によくできた人間ドラマでした。
それがラブコメ……。
一体どんな作品になっているのかと思ったら。
なるほど。
くすっと笑えてじんわり泣けるいい作品でした。


深い家族愛と苦みの残る人間関係。
そうした監督の持ち味は、今作にも遺憾なく発揮されていました。

ようやく乳がんの治療を終えてみれば、旦那は年若い愛人と浮気中。しかも娘の結婚式直前。
それでも娘の結婚式を台無しにはできないといろいろ飲み込み、何でもない風を装うイーダ。
愛妻の死から立ち直れず、仕事一筋で生きてきた堅物フィリップ。

傷心の二人が最悪の形で出会い、いくつかのハプニングを経て距離を縮めていきフォーリンラブ。

実にわかりやすい筋書きです。ラブコメの王道ですね。
最悪の出会いから距離を縮めていく過程がラブコメの醍醐味で、そこをどんな風に見せていくか、が作品の個性であり肝だと思います。

今作では、二人がはっきりとそれと分かるように恋に落ちるシーンは、傷ついたイーダが一糸まとわぬ姿で海水浴をするシーンでした。
抗がん剤の影響か髪がすっかり抜け落ち、乳房を摘出した姿のイーダ。それを横目で見ながらも不器用ながら慰めようとするフィリップ。その帰り道、フィリップの仕事の要でもあるレモン畑を歩きながら、徐々に心を近づけていく二人。
レモン畑だけに、実に甘酸っぱいシーンです。

が。
実にインパクトが強い。
それはやはりイーダの姿が単純に衝撃的だったこともありますが、それ以上に、このシーンがこの作品における主人公二人の属性のすべてを説明しつくしていたからです。
二人が抱える闇、というか、暗い影が言内外で語りつくされている。言ってみればこのシーンで手の内のカードをすべてさらけ出してしまったようなもので、これからどうするんだろうと思ってしまいました。

徐々に近づいていく、という部分を省いたおかげで浮いた尺は、それぞれの家族を描くことに費やされます。
イーダと夫・ライフ。ライフと愛人。イーダと娘・アストリッド。そして息子・ケネト。
フィリップと息子・パトリック。フィリップと亡妻の妹・ベネディクテ。
アストリッドとパトリック。
そうした家族の姿を描いていく中で、この家族たちにはさまざまな問題が見え隠れしていることがわかってきます。

深い家族愛と苦みの残る人間関係。
それをベースにラブコメの手法を加えることで、笑って泣ける人間ドラマができあがっていました。
上手いなー。そして単純におもしろい。


ところで、以前監督のファーストネームは「スザンネ」と読んでいたと思うのですが。
まぁ、日本語でないのでその辺はどちらでも良いとかそういう感じなんかもしれませんが。


愛さえあれば
http://www.aisaeareba.jp/
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