京極夏彦 / 講談社

昭和二十八年春。小説家、関口巽の許に奇怪な取材依頼がもたらされた。伊豆山中の集落が住人ごと忽然と消え失せたのだという。調査に赴いた関口に郷土史家を名乗る和装の男が嘯く。――「この世には不思議でないものなどないのです」
男が現出させたこの世のものとは思えぬ怪異。関口は異空間へと誘われてしまうのか? 六つの妖怪の物語で、「宴」の「支度」は整い、その結末は「始末」にて明らかにされる。
昭和二十八年、裸女を殺害して、木に吊すという事件が蓮台寺温泉で発生。その犯人として逮捕されたのは、当時世間を騒がせた猟奇犯罪にことごとく関係者として連なっている作家、関口巽だった。関口は言う。「多分僕がやった。僕が木に吊して逃げるところを自分で見ていたのだから」――とまどう捜査陣。事態を混乱させるがごとく、街に溢れる奇怪なる宗教集団。「宴」の始末はいよいよ本書にて明らかになる!