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作・演出:新津孝太 / 劇団ジョキャニーニャ

加茂実。地方の零細部品メーカーに勤める36歳。
同僚から言わせれば「何だかぱっとしない」が代名詞の彼だが
半年前から付き合い始めた彼女がいた。
彼は彼女が大好きだった。
しかし、ある日加茂は偶然ラーメン屋で彼女が他の男と一緒にいるところを目撃する。
悶々とする加茂だが、翌日会社に行くと昨日彼女の隣にいた男が何食わぬ顔で…。



ひさびさの舞台観劇。
ていうか、よく考えたらこの前に観たのって「おしゃれリボンと奇妙なカタマリ」だから、1年3カ月ぶり。
ジョキャからジョキャへ。おお。

まぁそれはさておき。

あらすじによると、三角関係による痴情のもつれ……のように見えますが、そこはもちろんジョキャなので単なる恋愛劇にならないのは火を見るよりも明らかです。
加茂と、加茂の勤める会社の社員、そして加茂の彼女。合計8人の人間が入り乱れ、人間関係がしっちゃかめっちゃかになっていき、もうカオス。
そんな修羅場ってる中、すごくニッチだけど市場を独占しているという製品の設計図を巡っての手に汗握る(笑)スパイ合戦!
お話を要約するとこんな感じです。


登場人物の男性全員の影にちらつくある女の姿。
不倫、片思い、横恋慕と乱れていく人間関係。
市場を独占する設計図を巡っての攻防。

こうして要素だけ抜き取ってみると、いかにもハリウッドが好みそうなスパイ映画のようですね。
しかし、ここで描かれるのはコメディであり、シリアスさも派手さもお色気もありません。
ひたすら小ネタと喜劇的要素で演出されています。
この見事さよ。
大事なのは素材ではなく、調理法なのだということがよーくわかります。

また、前回の「おしゃれリボン~」は、設定や小ネタを消耗品のように使い捨て、回収される伏線というものがほとんどない雑なつくり(失礼な言い方ですが)だったのに対し、今回は設定や小ネタがストーリーときちんと絡み、ほぼ無駄のない舞台となっていました。

コメディだからこそ、笑いと勢いでごまかさず、きちんと作る。
やっぱりジョキャのおもしろさはこの脚本の良さにあると思います。
もちろん、その脚本を活かす演技のできる役者さんがいるから、というのも外せない要素ですが。


途中まではちょいちょい笑いがこぼれ、乱れた人間関係が白日の下にさらされる修羅場が最高におもしろく、クライマックスに向けての期待が高まったあと。
……うーん。
オチがなんだか弱いような気がしました。
弱い。うん? ぼやけている、というか。
結局主役は誰だったんだよ、という部分がぼやけていて、最終的にどこに落として収まりたいのかがはっきりしていませんでした。

あらすじを見る限りでは加茂が主役っぽく、さらに言うなら役者は中里さんで、話の展開的にも加茂を中心に回っていくので加茂が主役ということでいいんでしょうが。
最後まで見終えると、最終的に目的を達成したのは加茂の彼女、瑞穂で、他の登場人物たちは盛大にダンスを踊ったにすぎなかったことがわかります。
加茂は……見方によっては彼女の喜ぶ顔を見るために、という目的を達成した、と言えなくもないのですが、あんなことまでやっておきながら最後はそういう境遇なのか……報われねえなぁ、という後味の悪さというか、据わりの悪さがどうしても残ってしまいました。

じゃあ、登場人物のほとんどを手玉にとって最終的に目的を達成し独り勝ちした瑞穂が影の主役だったのだ、と考えてみます。そうするとこのお話の構図はかなりすっきりとするし、あのオチもなるほどなぁ、という感じで落ち着きます。
しかし。
そう考えるには、瑞穂のキャラが弱すぎる……。
彼女がどういう人間なのか、というところが完全にすっぽり抜け落ちている。人間味がない、というか。「加茂の彼女」という記号をそのまんまキャラとして仕立てただけに見えました。
そうして記号としての姿だけを見せつけることで、本来の彼女をミステリアスなまま置いておく意図だったんだろう、というのは分からなくもないのですが。
別に彼女の所属や本物の人格をしっかり描いてくれ、というわけではないのです。
たとえば最後の最後、暗転の直前に瑞穂が出てきて、いままで見せていた愛くるしい表情や仕草を一切排した冷徹な感じで「任務完了」と一言つぶやいて舞台袖にはける、とか。
そんなワンシーンがあるだけで、オチがぐっと締まると思うのです。
すると瑞穂が今回のドタバタ劇の首謀者で、ああ本当の主役はこいつだったんだな、という形ですっきりしたのではないかなぁ、と思いました。


素人目ながらケチもつけましたが、ものすごくおもしろかったことは間違いありません。
ていうか、逆におもしろかったからこそ些細なことが気になってしまう、という感じです。
ジョキャは、というか、いままで見てきた演劇作品の中で、僕は「窓辺の金魚、宇宙の辻さん。」が最高におもしろくてすばらしい作品だと思っているので、どうしても「辻さん」を求めてしまうんですね。あのクオリティを。

ああ。
また「辻さん」が見たいなぁ。
ほんと。
あの当時の舞台をDVD化して販売してくれませんかねぇ。あれば絶対に買うのに。
それか、再演してほしいです。是非!


いけない、「失恋レモンは残酷カモミール」の感想だったのに、最後は「辻さん」の話で終わるところだった。
そんなわけでとてつもなくおもしろい舞台ですので、金沢近郊の方は是非。この機会をお見逃しなく!


Cofeeジョキャニーニャ
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